30もとうに過ぎた私がジャニーズに嵌るまで (中)
アイドルに興味がない人から見るアイドル
「5人もいるなら5重唱してみろってんだよ。ユニゾンはダメだよ」
大学の編曲法という授業で、作曲を生業としていた先生はジャニーズについてそう評価していた。
「演歌みたいな日本の歌は5音もあれば成立する構造になってる。今でもそうだよ。V6の曲、あれ5音しかないんだ。みんなが歌えてヒットするように工夫してつくられてるんだ」
そう言ってMUSIC FOR THE PEOPLEのメロディーをピアノで弾いてくれたこともあった。
また、ミュージカルをやっていた頃、ダンス指導をしていた当時大学生の女の子は、ダンス未経験の私たちにこう言った。
「そうやってキメを作るだけのジャニーズダンスはしないで。私それ大っ嫌い」
今振り返ると偏見だなあと思うけれど、当たり前にそういう評価をする人たちの中にいて、私も同じような認識を持っていた。
篠原涼子も鈴木あみも小室哲哉がプロデュースするから売れるわけで、モー娘。がヒットを飛ばせるのはつんくが曲を書いているから。
同じアイドルでもジャニーズはまた特殊で、誰がどんな曲を書いても絶対に売れるものだという印象があった。
周りのクリエイティブ陣が用意した歌やダンスを基礎を習得しないまま披露して、盲目的な人々に指示される構造という認識である。
私こそひどい偏見の持ち主だったが、前回のブログで書いた2013年の春の時点では、インディーズミュージシャンのファンだったのでご容赦願いたい。
その彼は、メジャーレーベルの移籍を繰り返した挙句にインディーズに落ちて、150人収容のライブハウスでもガラガラの集客力だったのだ。
自前の衣装でステージに上がり、自分で打ち込んだ音を流して歌い、もちろんピンスポだって固定だ。どんなにいい曲を持っていても、タイアップなんてつかない。
プロモーションに掛ける金額が違うのだ。そりゃもちろんアイドルの曲は売れる。
ただ、私の周りでジャニーズのCDを聴いてる人なんて一人もいなかった。
クラシック音楽を勉強し、大人になってからはバンド音楽を聴いている友人に囲まれていた。
私は趣味でバンドをやっていた男性と結婚し、インディーズバンドのライブに通った。夫はいつからかremixDJをするようになり、私は合唱とミュージカルと声楽に明け暮れていた。
ジャニーズはジャニーズであるという理由というだけで私の興味をひかなかった。
完全に別世界の出来事だった。
「ここにしかない景色」PVが私にもたらしたもの
話は関ジャニのPVに戻るが、このグループがバンドだという認識をしたのはひとえに渋谷さんの癖のあるヴォーカルである。
甲本ヒロトのフォロワーであることが丸わかりの歌唱法だ。
wikipediaで調べると、クロマニヨンズに傾倒していることや一時アイドルとしての活動をしていなかったこと、刺青を入れていた時期があることなどが分かった。
なんというか、私の中では「一般的なバンドマン」のカテゴリに入るべきタイプだった。
なのに彼はジャニーズなのだ。
ジャニーズとは、アイドルとは何なのだろう、という疑問が芽生えた瞬間だった。
結局は嵐ファンになった
ジャニーズのPVを観ているうち、一番興味をひかれたのは嵐だった。
単純に、なんとなく全員の顔の判別ができるのが嵐だけだったからなのだが、
もう一つ理由があった。
渋谷さんのいる関ジャニ∞は人数が多いのだ。6人を超えてしまい、かつ楽器を持たないPVとなるともう映像についていけない。
そして、monsterのPVとFaceDownのPVに辿り着いた。
完全に私の好みのPVだった。何度も何度も見返して気がついた。
私はこの、嵐というジャニーズのグループが好きだ。