30もとうに過ぎた私がジャニーズに嵌るまで (後)
しばらくはみんなに隠してた
嵐が好きだ、と自覚してからしばらくは誰にも言えなかった。
amazonで買い集めたCDもライブDVDも、夫の目に触れないところに置いていた。
だってなんだか恥ずかしかったのだ。
この解りやすい巨大ビジネスに取り込まれてしまった自分が恥ずかしかった。
それと同時に、口パクでバク転してる彼らの本当の実力というものがとにかく気になっていた。
PVを観ては誰のダンスが一番キレているのかを観察し、ライブDVDを観ては修正されていない歌声を聴き分け、誰のピッチが安定しているのか知ろうとした。
CDでの歌のピッチはもちろん綺麗に加工されているだろうという思い込みの下、フレージングや発声を聴きこんだ。
結果、観れば観るほど、聴けば聴くほど彼らを好きになった。
もうどっぷりである。
おそらく私の年齢も相乗効果を産んだのであろう。
当時すでに30歳を超えていた大野さんでさえ年下だ。
ただひたすらに可愛らしいのである。
ただのめんどくさがり屋に見える大野さんも、
妙にお育ちのいい櫻井さんも、
解り易くいい人な相葉さんも、
妙に小生意気な二宮さんも、
完璧主義な松本さんも、
全員がアイドルという仕事になにがしかの哲学を持って、日々努力を重ねてカメラの前に立っている。
それまで興味もなかった彼らが、ひたすらに可愛らしい。
で、白旗を挙げました
もうこれは無理だ。
私は身近な友人たちに、実は最近嵐が可愛くて…とモジモジしながら告白した。
全員が全員、私の気が触れたのか、というようなリアクションをしてくれた。
この上なく正しい反応だと思った。
そして、ひたすらに観つづけたDVDで、他グループに比べて比較的ダンスがそろっているとされる嵐にも各人に特徴があることを知った。
また、結局綺麗に修正された音源では歌のレベルを推しはかることはできなかったし、CDを聴いてもテクニックが顕著に出るような箇所はほとんどなかった。
アイドルとはこういうものかと感動すら覚えた。
親しみやすいという嵐のパブリックイメージを損なわないよう、全て計算ずくなのだろう。
これはもう、ライブ会場で生歌を聴くしかない。
ファンクラブ会員でないとチケットを入手することができない、という知識はすでに得ていた。
2013年の9月、私はジャニーズファミリークラブに会費を振り込み、嵐のファンクラブに入会した。